寒冷地における木造建築
寒冷地の脚部構造耐久の安全性
工学院大学建築学科教授 宮澤健二氏

寒冷地・雪国ならではの基礎工法
基礎には「鉛直支持耐力」「不等沈下防止」「水平耐力」「建物全体の湿気防止」「腐朽劣化の防止・換気」「建物の見栄え」など多くの性能が求められます。一般 的には布基礎やベタ基礎が用いられますが、寒冷地においては凍結深度が深く冬場の床下換気の問題もあるので、高基礎を用いることもあります。これは防湿・換気には効果 的なのですが、あまり高くしすぎると、地震による水平方向の力に対して弱くなってしまうという欠点もあります。それぞれの特徴を踏まえて、初期性能としての耐力性能とそれを長年維持する耐久性能、両方を高める工法を用いなければなりません。
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床下換気口によって強度が変わる
基礎に換気口を開けると、長期荷重によって梁に、水平荷重によって柱脚に、それぞれかなりの負荷がかかることになります。特に換気口を基礎の上部に設けている場合は、長期荷重に対する性能が換気口のない場合に比べて半減してしまいます。また中央に換気口を設けている場合でも、水平荷重への性能が悪化しがちになります。換気口の開口部は、相当補強しなければなりません。力学からみると、キソパッキング工法のように基礎に換気口を開けない工法が、最も優れた耐力性能を示します。
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木造住宅の性能を左右する含水率
建築の構造素材として、木・鉄・コンクリートがありますが、中でも木は軽くて強くて、加工が容易です。また調湿作用があるなど、優れた構造材料性能を備えています。しかしシロアリや腐朽菌に弱い、脆性材料であるといった欠点もあるので、その辺り考慮してうまく使わなければなりません。最も重要なのは、木材の含水率。よく乾燥して含水率が低ければ、シロアリや腐朽菌を寄せ付けず、強度も増します。常に適切な換気をして木材を乾燥させることで、耐久性が維持でき、木造住宅の本来の性能を発揮できます。
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地震と木造住宅の基礎被害
建築基準法の制定から55年が経ち、必要壁率などの基準は倍になり、建築構造としての強度は増してきています。しかし阪神淡路大震災で被害にあった家を見ると、3〜4割はシロアリ・腐朽による倒壊・損傷でした。筋交いや柱に金属を入れて補強していても、それを支える基礎・土台に耐久劣化が生じていては意味がありません。また液状化現象による不等沈下も多く見られましたが、その修復は困難なもの。ところがキソパッキング工法を用いていた住宅では、基礎と土台の間に隙間があるので、そこを利用して容易にジャッキアップできました。今では、不等沈下を想定して、キソパッキング工法を選ぶ事例も多いようです。 キソパッキング工法は換気口を開けずに、全周換気で隅々まで乾燥状態を保てるので、耐力性能・耐久性能ともに優れています

2005.04 vol.01 寒冷地における木造建築 TOPへ