国民生活センターに寄せられたシックハウス関連の相談件数は、1997〜1999年度は250件前後でしたが、2000年度以降は300件を越えています。その内訳をみると、住宅関連の相談よりも家具や害虫関連の相談の方が増加傾向にあります。これはシックハウスに対する認知度が上がったことにも起因するでしょう。危害部位は全身に及ぶケースが29.1%と最も多く、治療期間は3週間以上の人が半数以上を占めていることから、事態の深刻さがうかがえます。
2002年に国民生活センターが実施したアンケートを見てみましょう。
1)
室内濃度指針値の周知度…ほとんどが「知っている」
2)
指針値の受け止め方…「守らなければならない値」が7割弱だが、3割強は「参考程度、わからない」
3)
指針値の策定を受けた対策…「対策を講じた」は9割強。建材や換気対策が多い。
4)
改善した建材、施工材…ホルムアルデヒド関連が上位
5)
住宅性能表示制度の周知度と制度の利用…実測値の表示は少数
6)
シックハウスの苦情…入居後半年以上経ってからの苦情もある
7)
薬剤による防蟻…薬剤を用いた防蟻が約7割、クロルピリホスを使用しないことについての対策は4割強
住宅メーカーのシックハウス対策に対する関心は高いようです。しかし実際にホルムアルデヒドの濃度測定データを提示している件数は少なく、ホルムアルデヒド以外の物質についての対応についてはさらに遅れています。 中には、ホルムアルデヒド対策を考慮したつもりでもシックハウス症候群になり、調べてみると指針値を超えたホルムアルデヒドやトルエンが検出されたという例も。こうした事例は、シックハウス対策の情報が浸透していないために起きたものと考えられます。
シックハウス症候群は未解明な部分が多く、原因が複雑に絡んでいることも考えられるので、画一的な対策は困難な状態です。現在のシックハウス対策法では、ホルムアルデヒド対策とクロルピリホスの使用禁止しか定められていませんが、今後は研究の成果とともに、さらなる対策の指針が示されていくことでしょう。 より良い健康住宅づくりのため、できるだけ広く、最新の情報を得ることが大切です。
ホルムアルデヒドの使用を抑えていても、新築直後には指針値より高い数値を示すことがあります。約3ヵ月後にはホルムアルデヒドやトルエンの濃度がかなり減少するというデータもあるので、完成して3ヶ月程度待ってから入居するのも一つの手段です。 そして入居後も家具やカーテン、日用品など、身の回りにあるさまざまなものから化学物質が放出されているので、効果的な換気を心がけましょう。
2005.06 vol.03 健康住宅づくりの落とし穴 TOPへ