アルミ製 浸水対策水切り

わずかな空間に、未来の防災を。浸水対策という新たな機能をJoto基準の土台水切りに。

アルミ製 浸水対策水切りとは床下換気に必要な換気性能を確保しながら、有事の際には浸水被害を最小限に抑える土台水切りです。

  • 換気性能と止水性能を両立
  • コンパクトに組み込んだ止水機能
  • 交換パーツのみで機能回復

水害が頻発する時代に、基礎まわりからできること

近年、全国各地で集中豪雨や台風による河川の氾濫、都市部での内水氾濫など、水害が頻発しています。城東テクノでも、Jotoしろあり保証制度をご活用されているお客さまから、床下浸水の被害に遭われた際にお問い合わせいただくことがあります。
その際、当社では「自治体が示す復旧方針に従って適切に復旧していただければ、しろあり保証制度を継続することができます。」とのご案内に終わっていました。しかし、基礎まわりの製品を扱うメーカーとして「もっとできることがあるのではないか」という想いもありました。
また、浸水被害は、適切に復旧できたとしても多くの工数や労力、費用がかかります。内水氾濫に遭った際の復旧にかかる時間を確認すると、その基礎の復旧作業だけでも床下を乾燥させるのに2週間から2カ月程度を要し、その後も木材の含水率が25%以下になることを目安に経過観察を行う必要があるのです。

キソパッキング工法のパイオニアである城東テクノだからこそできる浸水対策を提案できるのではないか――。そんな想いから、アルミ製浸水対策水切りの開発は始まりました。

どう止水するか。ゼロからのスタート

アルミ製浸水対策水切りの開発は、まさにゼロからのスタートでした。
まずは止水に使える素材を探すことから始まりました。フィルムやゴムなどさまざまな素材を検討する中で、水に触れると膨張する「水膨張不織布」に着目しました。普段は換気経路を確保しながら、浸水時には膨らんで開口部を塞ぐことができるため、換気と止水の両立が求められる土台水切りとの相性が良いと考えたのです。
しかし、どの程度の止水性能を目指せばよいのか、どのような条件で試験を行い、どう評価すれば良いのか。社内には前例も知見もなく、性能基準そのものが存在していませんでした。
そこで、水害被害の復旧に知見を持つ外部有識者の協力を得ながら、基準や試験方法の検討を進めました。例えば、当初は水道水による止水試験を行っていましたが、実際の水害を想定して細かな粒子を含んだ泥水での試験へ変更するなど、試験方法や評価基準を検討しながら開発を進めました。

最大の壁は「換気」と「止水」の両立

開発担当者が最も苦労したと振り返るのは、止水材として採用した水膨張不織布の特性を理解することでした。
水膨張不織布にも種類があり、膨張量や膨張速度の違い、ほかにも繊維同士が絡み合うと膨らみが悪くなるなど、実際に扱ってみなければ分からない挙動がいくつもありました。そのため、不織布の種類ごとの特性を一つひとつ確認しながら、最適な組み合わせとなるよう検証を重ねました。
加えて課題となったのが、床下換気との両立です。止水性能を高めるためには不織布に十分な厚みが必要ですが、厚みを持たせると換気経路が狭くなります。逆に換気性能を優先すると、今度は止水性能が不足します。
単純に本体サイズを大きくすれば換気性能と止水性能の両立も可能でしたが、そうすると見付幅や出幅も大きくなり、外壁の意匠面に影響してしまいます。そのため当社では、既存の土台水切りと同等サイズの中で、必要な換気性能と止水性能を確保することを要件として設計を進めました。
検証を重ねた結果、限られた納まりの中で換気量と止水性能の最適なバランスを見つけ出し、性能と納まりの両立を実現した現在の形状へとたどり着きました。

確実な止水性能を実現するために

本製品は本体素材にアルミニウムを採用しており、この素材選定においても、浸水対策機能を成立させるための3つのこだわりがあります。

1つ目は、不織布の膨張圧に耐えられる強度です。浸水対策水切りは、水膨張不織布が水を吸収して膨らみ、換気孔を塞ぐことで床下への浸水を抑える仕組みです。しかし、浸水時には本体内部に非常に大きな圧力が発生します。従来の鋼板ではその圧力によって変形する可能性があり、十分な止水性能を確保できないため、アルミニウムの強度が必要でした。

2つ目は、複雑な製品形状の実現です。水膨張不織布を内蔵しながら必要な換気量を確保するためには、本体内部を複雑な断面形状にする必要がありました。アルミの押出成形であれば、不織布の膨張圧に耐えられる強度を確保しながら、止水性能と換気性能の両立に必要な複雑な形状を実現できます。

3つ目は、複雑形状での長尺成形です。土台水切りに継ぎ目があると、その部分が浸水経路になる可能性があります。アルミニウムであれば、複雑な断面形状と強度を維持したまま長尺で製造できるため、設置時の継ぎ目を減らすことができます。

このように、「強度」「複雑な断面形状」「長尺成形」の3つを同時に実現するため、本体素材にはアルミニウムを採用しました。

一日も早く、いつもの暮らしを取り戻すために

本製品は床下浸水量を軽減し、浸水後の復旧負担を削減することで、お施主さまが一日も早く日常を取り戻せるようにとの想いから生まれました。水害後は本体ごと交換するのではなく、水膨張不織布の交換パーツのみを取り替えることで止水機能を回復できる構造としました。

近年では、水害を想定した家づくりやレジリエンス住宅(※1)、フェーズフリー(※2)への関心も高まっています。
私たちは、有事があっても長く安心して住み続けられる家づくりの一助となる製品を目指し、約5年にわたる試行錯誤を経て、浸水対策という新たな価値を土台水切りに加えました。
これからも城東テクノは、社会課題に向き合いながら、住まいの安心・安全を支える製品づくりを続けてまいります。

(※1)被災時にいち早く日常生活を取り戻すための住宅
(※2) 身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立つようにデザインしようという考え方