全国に営業所を構えるJotoでは、製品へのアイデアやお客様からの声を自由に提案できる制度があります。数多くのアイデアが各地からマーケティング部に集約され、具体的な製品企画へと落とし込まれていきます。この『ルームガラリ』も、そうして生まれた製品のひとつ。優れた強度が高く評価されていた「高気密型床下点検口」の技術を使って、「穴あきのものが作れないか?」という現場からの声が届いたのです。
「穴あきの点検口?」それはつまり、床下の換気用ガラリという要望でした。基礎気密化工法につきまとうのが、床下のカビ発生を防ぐ換気の問題。他社からもすでに換気用ガラリは販売されていましたが、「色のバリエーションが少ない」「踏むと壊れやすい構造」といった住み心地の問題、「建物側の補強が必要」「手仕事で製作されておりコストが高い」といった施工上の問題などがあり、「安心して使える製品がない」と言われている状況でした。
基礎気密化工法が採用される住宅は全体の1割に満たず、市場はそれほど大きくありません。しかし、「キソパッキング工法以外の工法にも対応できる製品を展開していくことは、気密と換気に関する製品を展開するメーカーとして重要なのではないか?」という声が社内からも上がり、2007年、開発がスタートしました。
構造面でも意匠面でも住み心地を良く保ち、さらには施工上の手間もできるだけ抑えるのが、Jotoの製品開発ポリシーです。そこで枠材には、床下点検口同様、樹脂を採用することに。低コストながら素足にも優しい肌触りで、さまざまなフローリングになじむ多彩なカラーバリエーション展開が可能です。
しかし、一方で耐荷重性のクリアには工夫が必要でした。住み心地を考えれば、不意に踏んだとしても問題ない強度は不可欠。かといって金属では前述のようなメリットを享受できませんし、固い樹脂を選ぶと割れやすくなってしまいます。そこで考案したのが、樹脂を鋼板で補強する現在のスタイルです。全荷重を鋼板で支えることで、100kgの荷重でもたわみ3mm以内を実現しています。
またフローリングとの段差も3mm以下とし、できるだけつまずきにくいように。施工面でも根太や大引きの切り欠きが不要なサイズで設計。その他、ゴミよけネットとガラリの内側の枠位置を合わせて換気面積をできるだけ広くとる、フローリングとの調和を考えて格子(上部)を長辺に対して並行にする等、さまざまな工夫が施されています。
こうして2008年に発売スタートされた『ルームガラリ』は、もともとの市場が小さいもののじわじわと売上を伸ばしており、リピート使用されるお客様も多い製品となっています。また、最初の製品は、根太間に納まる長さとなっていましたが、お客様からのご要望を受けて、掃き出し窓に沿って取り付けられる連結タイプを新たに開発。板金を一枚板にし、折り曲げ・穴あけ加工することで床下の補強材に干渉しない厚さ24mmを実現しています。
その後も、床下放熱器対応の150mm幅タイプ、換気システム対応のチャンバー付きタイプ、風量調節式タイプなど、お客様の声をもとに『ルームガラリ』シリーズ製品のラインナップは年々充実。お客様の声を大切にした製品づくりは、私たちJotoの最大の強みです。今後もお客様の声に耳を傾け、各ご要望の本質を見極めて取りまとめ、『ルームガラリ』のようにシンプルかつオールラウンドに使っていただける製品をお届けしてまいります。