屋根通気とは
屋根通気とは、屋根断熱を取る際に、断熱材の外側に通気層を設けて空気を流すことを言います。
基本的に、天井断熱の時には小屋裏換気が、屋根断熱の時には屋根通気が必要になります。
ここでは、屋根通気の役割や基本的な取り方について解説していきます。

屋根通気の役割

屋根通気の役割は、断熱材の外側に空気を流して湿気を排出することで、躯体や断熱材を守ることです。
断熱層を密閉してしまうと、逃げ場のない湿気は断熱材に溜まり断熱性能を低下させます。
それ以上に、野地板や垂木といった周囲の木部の含水率が上がり、躯体の劣化が急激に進む原因になり得ることが問題です。
さらに、万一屋根材を通して雨水が浸入すれば、排水されずに留まることになります。これも躯体の劣化を招きます。

これらの役割は、今や当たり前のように取られている外壁の通気層とほぼ同じものです。屋根は特に日光や雨の影響を強く受ける厳しい環境に置かれるため、なおのこと通気層が重要な役割を担います。
断熱等性能等級4では条件によっては通気層を省略できるとされていますが、原則として屋根断熱の際には通気層を設けて空気を流すことが必要だと考えて良いでしょう。

屋根通気の取り方

充填断熱の場合と外張り断熱の場合で、通気層の設け方が変わります。

充填断熱

充填断熱の場合は、垂木の高さの内に断熱材と通気層を設けることになります。

あるいは垂木の下に断熱層を設け、垂木をそのまま通気層にする方法も有ります。

外張り断熱

垂木の上に断熱材を張る外張り断熱の場合は、断熱材のさらに上に通気層を設けます。ちょうど外壁で言う胴縁のように通気垂木を施工して通気を取ることが多いです。

通気層の高さは、住宅金融支援機構「木造住宅工事仕様書」においては30㎜以上が推奨されています。

通気を取る時の注意点

通気層はただ隙間をあけていても意味がありません。空気を流して初めて通気層として意味を成します。
そのためには、通気層の出入口を設けることが重要です。多くの場合、入り口は軒裏に、出口は棟部に設けます。

また、ただ換気材を取り付けるだけでなく「全ての通気層に空気を流す」工夫も必要です。
通気層は小屋裏空間と異なり、垂木で仕切られた高さ30㎜程度の狭い空間でしかありません。そのため、全ての通気層に空気を流すための工夫が必要です。
どこかの通気層が塞がっていれば、そこが不具合の原因にもなり得ます。

①入口となる軒裏の通気孔を長物の換気材で納める。スポットで換気する場合は、すべての通気層に空気が流れるよう、軒裏空間をつなげる。

②出口となる棟換気材を棟全体に使用する。スポットで使用する場合は、横方向へ空気が動くよう、頂部に隙間を設ける

③寄棟屋根の場合は、隅棟で通気が止まらないよう、隙間を設けたり専用の換気材を用いる

屋根通気層の確保と空気の出入口の確保に留意して、屋根断熱の住宅を長持ちさせましょう。