小屋裏空間で求められる住宅品質vol.5「屋根断熱工法における通気層の確保について」
入口・出口・通気経路をしっかり確保
屋根断熱工法における通気は、小屋裏換気と同様に水蒸気を適切に外部へ排出することが主な目的です。屋根通気層の設計及び施工は、小屋裏換気と比べ注意が必要だとNEXTSTAGEは考えています。小屋裏換気は出入口となる複数の換気孔で一つの大きな空間の換気を行うのに対して、屋根の通気は屋根垂木等で区切られた一つ一つの空間に入口と出口を設け、個々に空気が流れるようにしなければならないからです。屋根の通気の機能を十分発揮するための注意と現場で見受けられる不備事例を紹介させていただきます。
設計における注意
屋根通気の出口となる棟換気部材の取り付けを、棟全体ではなく部分部分とする計画の場合は、棟換気部材の総開口面積の不足に注意してください。出口の面積が不足することで、通気量不足となり屋根通気層内における湿度上昇、結露、木材の腐れのリスクが高まります。又、棟部における横方向の通気経路にも注意。棟換気部材の位置まで空気が流れるように通気経路を確実に確保してください。
屋根通気イメージ
×現場施工の不備事例①(通気部材)
通気部材が反ってしまい、有効な通気面積が小さくなってしまった事例です。計画通りの通気量が確保できない恐れがあります。
×現場施工の不備事例②(屋根断熱)
屋根断熱に用いた現場発泡系断熱材の膨れとはみ出しにより通気の妨げとなっている事例です。後から覗き見て確認することが難しいケースが多いため、慎重な断熱材施工が必要となります。
◎優良事例(屋根防湿フィルム)
屋根断熱では、通気層から水蒸気を外部へ排出させることと共に、室内からの水蒸気の流入を防ぐことも考慮しなければなりません。屋根断熱材の室内側の防湿フィルムに破れや隙間がないかを確認することは必須です。又、防湿フィルム付きグラスウールを使用している現場では、防湿フィルムの耳が垂木に留め付けられ、かつテープ貼り又はボード材等で挟み込む納め以外の場合には、メーカー指定の防湿処理に適合した施工となっているか確認が必要です。
次回のvol.6では、下屋の小屋裏換気について設計・施工品質に関わる事例をご紹介させていただきます。
記事提供
住宅品質向上のリーディングカンパニー
株式会社NEXT STAGE
住宅会社の自社品質基準の構築や、建築現場での第三者監査など「住宅品質の安定と向上を具現化する」ためのコンサルティング事業を展開。
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