木造住宅にとって懸念すべき問題のひとつがシロアリ被害です。
このページでは、シロアリの生態の解説や、シロアリ被害を防ぐためのお役立ち情報をご紹介します。
これってシロアリ?
シロアリの種類と特徴
世界中に約2,900種類も生息しているシロアリは「アリ」と呼ばれていますが、アリとは非常に縁が遠く、等翅目に属する分類上ゴキブリに近い昆虫です。
シロアリには階級があります。
シロアリは不完全変態する昆虫です。発育の途中から職蟻と兵蟻とが分化し、女王と王を中心に、多数の個体で集団(コロニー)を形成して生活しています。
湿っていて暗い場所が大好きです。
光や乾燥を嫌うシロアリにとって、換気が悪くジメジメした床下は、エサになる木も豊富にあり、まさにシロアリの天国!
特にヤマトシロアリは湿った木材を好む傾向にあります。
シロアリ(羽アリ)の群飛。
ある時期にシロアリの巣から多数の成虫が飛び出し、新しい巣を作るための行動を起こします。これを郡飛といいます。郡飛が見られるのはある程度以上の成熟したコロニーで、郡飛の時期やそれに適した温度・湿度など条件が整えば行動をはじめます。
シロアリが食べるのは木だけではない。
シロアリは木材に含まれるセルロース・ヘミセルロースを栄養分にしますが、食欲が旺盛なため、途中に障害物があればゴムやプラスチックでも食い破って進んでいきます。他にもコンクリートのすき間や発砲樹脂系断熱材など、シロアリの栄養分を含まないものでも被害を受けたという例が報告されています。
日本のシロアリ
日本には現在22種類のシロアリが生息しているとされています。
この中で建築物に被害を及ぼすシロアリは5種類で、日本に広く分布しているものとしてヤマトシロアリとイエシロアリの2種類が挙げられます。
ヤマトシロアリは現在「北海道 名寄市」を北限に日本全国に分布。
イエシロアリは神奈川県以西の海岸線に沿った温暖な地域と千葉県の一部、それに南西諸島、小笠原諸島に分布しています。そしてこの2種類のシロアリは、どちらも暗くて湿潤な環境を好んで生息しています。
イエシロアリは、心材と辺材では辺材の方を好んで食べます。ヤマトシロアリも基本的には同じですが、ヤマトシロアリの場合は心材が多く被害に遭うケースもあります。
ヤマトシロアリ | イエシロアリ | |
---|---|---|
活動範囲 | 狭い | ヤマトシロアリに比べて広い |
コロニー | 分散・独立志向で、狭い範囲内にいくつもの コロニーが存在する場合もある 1つのコロニーには数万~10万頭が生息 |
大規模志向で、1つのコロニーに100万頭もの 数がいる場合もある |
巣 | 加害箇所が巣を兼ねており、 特別に加工した巣はつくらない |
特別に加工した塊状の大きな本巣 や分巣をつくる |
加害木材 | 湿潤な腐った木材 | 湿潤な木材だけでなく家全体に及ぶ乾いた木材 |
被害の進行 | 比較的遅い | 速い |
兵蟻の戦い方 | 逃亡・分散のために戦う | 常に全体を守るために戦う |
兵蟻 職蟻 |
![]() 兵蟻/淡褐色、頭部:円筒形、 体長:3.5~6.0mm 職蟻/乳白色、小形 |
![]() 兵蟻/淡褐色、頭部:卵形、 体長:3.8~6.5mm 職蟻/乳白色、やや大形 |
羽アリ (有翅虫) |
![]() 黒褐色(胸部は黄褐色)、 体長/4~8mm |
![]() 黄褐色(頭部は暗褐色)、 体長/7~10mm |
シロアリ被害の早期発見のポイント
- 基礎部分に蟻道(ぎどう)を発見した場合
- シロアリは蟻道と呼ばれる巣と餌場をつなぐアーケード状の特殊な通路をつくりその中を行き来します。(羽アリは別) 写真のように基礎部分に蟻道を発見した場合は、すでに見えない部分でシロアリ被害が進行している可能性があります。
- 床や壁面に亀裂やふくらみ、黒ずみなどを発見した場合
- 床下や壁体内でカビが発生したり、木部が腐っている場合、シロアリ被害が進行している可能性があります。
- 歩くと床がブカブカする場合
- 木材の床が、歩くとブカブカする場合、木部が腐っていたり、シロアリの食害が進んでいて、木部がスカスカになっている可能性があります。