木造住宅にとって懸念すべき問題のひとつがシロアリ被害です。
このページでは、シロアリの生態の解説や、シロアリ被害を防ぐためのお役立ち情報をご紹介します。
シロアリの生態とは?
食物と被害
シロアリの主要な食物は木材で、その主成分であるセルロースとヘミセルロースを主要な栄養源としています。
木材は芯材よりも辺材を、樹種としてはヒバやコウヤマキなどの堅い木材より、マツ・ベイツガなどの柔らかい木材を好みます。しかし他に食べるものがなければ、断熱材やプラスチック類なども食べてしまうので、油断は禁物です。
加害習性
木材を加害するのは職蟻。歯のある大あごで食物をかじります。そのため木材によってはシロアリの被害を受けにくいものがあります。 シロアリは軟らかい木材を好む傾向があり、同一木材でも早材が晩材よりも加害されやすいことが知られています。被害材の木口面では固い晩材が同心円状に食い残され、征目面では薄紙を重ねたような食痕となっているケースが少なくありません。
心材の耐腐朽性・耐蟻性比較表
区 分 | 樹 種 |
---|---|
|
|
建築用木材のシロアリの防止対策
劣化因子の名称 | 材料的対策 | 構造的対策 | 薬剤処理法 |
---|---|---|---|
ヤマトシロアリ | 耐蟻性ある樹種、芯材の選定 | 部材を高含水にしない構法、 地表面と木部を離す構法など | 床下に土壌処理、木材に表面処理、または加圧注入処理 (高含水になるような部材に行う) |
イエシロアリ | 地表面と木部を離す、遮断する構法など(床下の土壌処理が必要) | 木材に表面処理、拡散または加圧注入処理 |
生息環境
- 【 生息域 】
- シロアリは主に熱帯と亜熱帯を中心に分布する昆虫。 日本では、ヤマトシロアリは北海道の東北部を除いて日本全国に、イエシロアリは主に千葉県以西・以南の温暖な海岸沿いや南西諸島・小笠原諸島に分布しています。しかし、2000年代に入ってからヤマトシロアリ生息域の北限が更新されるなど、分布域は広がっています。
- 【 湿度と水分 】
- シロアリは皮膚が薄いため乾燥に弱く、乾燥を避けるために湿度の高い床下に蟻道をつくり、巣と餌場を行き来して生息しています。 特に乾燥に弱いヤマトシロアリは生活場所が乾燥すると湿った場所へ移動します。イエシロアリは水取り蟻道経由で水を採取できるため、湿らしながら加害します。
- 【 気流 】
- シロアリは光や気流の動きに敏感で、これを大変嫌います。そのため、換気が悪く湿気が多い床下を加害場所として選びます。シロアリが最も好むのは湿気の多い床下ですが、床下から柱をつたって天井裏まで侵入したり、シロアリの羽アリが小屋裏から侵入するといったケースもあるので、湿気が多く気流の動きのない密閉された空間は注意が必要です。
- 【 土質 】
- ヤマトシロアリは一般に粘土分の多い土壌に、イエシロアリは砂質地に多く生息する傾向が見られます。しかし土質だけでは生息場所を明確に規定することはできないため注意が必要です。